SSブログ

入院とフルーツバスケット [その他]

 バカバカしい話だけど、元気な子って病気に憧れない?(笑)
 ぼんくら少年は小児喘息は抱えていたけど、2年間の福島の生活が幸いしたのか、東京に戻った小5の頃には病気とは全く無縁の子供になっていた。喘息が酷かった頃には、登下校時に友達が立ち寄ってくれた時なんか、嬉しかったり寂しかったりで大泣きして我が身を呪ったのに、いざピンピンに元気になると、病気がちな友達がなんだかカッコいい子に見えたりするんだよね、いやホントに^^;
フルーツバスケット1.jpg たぶん不治の病に冒された子供たちが悲劇のヒロインやヒーローとして描かれてるテレビドラマや映画を観たからなんだろうね。そういう子供たちに高級感を感じていたものと思われ(なんか書いててアホらしくなってきた)。
 こーゆー妄想を増幅させる幼馴染みがいたのもイケなかったね。Nっていう先天性の心臓疾患を抱えた友達がいて年に何度も入退院を繰り返していたんだけど、こいつが今でいうジャニ形のイケメンでね。親は世田谷杉並で手広く不動産業を営む資産家だし。しかも最悪なことに、Nってとってもいいヤツだった(笑)。
フルーツバスケット2.jpg 病院が西新橋だったのでそう頻繁には行けなかったけど、ぼんくら少年たちは週末になると足繁くお見舞いに行っていた。ま、なんて美しい友情なんだろう。
 なのに、だ。ぼんくらたちが病室にゾロゾロ入ってきても、半身を起こしてマンガを読んでいたNはチラッと顔を上げただけで再びマンガに目を落としちゃう。Nは失礼なヤツでもある。仕方がないから、こっちも挨拶代わりにNのほっぺたを引っ張ったり脇の下をくすぐったりすると、
フルーツバスケット3.jpg「止めろ~。分かったから好きなのを持ってけ!」
 とワケの分からないことを言う。ぼんくら少年たちがNの言葉で視線を向けた先にあったもの、それはサイドテーブルを飾るフルーツバスケットだった。ラップに包まれたバスケットの中には、リンゴやオレンジ、そして当時は高級品だったバナナやパイナップルがぎっしりと入っていた。時にはマスクメロンなんかも入ってたっけ。親が金持ちだったからだろうね、見舞客もハイソな人が多かったんだろう。ぼんくら少年たちがあらかた略奪しても、翌週には新たなフルーツバスケットが置かれていた。
 もちろん、ちゃんと遊んであげたよ(当たり前)。楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、付き添いのお母さんやおばさんがバスケットのバナナやオレンジを一つずつ渡してくれる。「もう帰りなさい」」という合図だ。
フルーツバスケット4.jpg「N、また来週な!」
「も~来るなぁ」
 そう言いながら、寂しそうに手を振るNを残して病室を去ると、病院の中庭で早速、収奪品にパクついた。
「Nって死なないよね」
「バカっ、そんなワケないだろ! あいつ、カッコいいし」
「カッコいいヤツって危ないんだぞ。テレビで観たし」
 なんてどーしようもなく意味不明な会話を交わしながら。
 結局、神様はぼんくら少年たちからNを奪おうとはなさらなかった。大小十数回の手術を経てNは普通に遊べる"高級感のない子"になれたのだ。その代わりに、フルーツバスケットは持っていっちゃったけどね(笑)。


お知らせ: お友達のナンさんが病気を羨ましく思う子供の気持ちをホントによく捉えた絵本を紹介してくださっています。もし興味がおありでしたらぜひご覧になってみてください。楽しいですよ^^ Komorebi House: 『あたしもびょうきになりたいな!』 http://baniyan.jugem.jp/?eid=223
nice!(15)  コメント(29)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 15

コメント 29

みゆきママちゃん

後でゆっくり読むね
今日は同伴じゃ~
応援PP
by みゆきママちゃん (2009-11-09 17:29) 

ぼんくらオヤジ

@みゆきママさん、忙しいのにありがと~ また後でね♪
by ぼんくらオヤジ (2009-11-09 17:37) 

o_hiro

確かに昔は本当にバナナとか果物は輸入品が高かったから
貧乏人には食えないので、病人にでもなって食いたいと思った
ような気がします。
今じゃ、安くなって有り難みが薄れました。

by o_hiro (2009-11-09 18:15) 

ixion

私も小児喘息だったので、あの苦しみはわかります。
そのときよく飲まされたのが、黄色い液状の甘苦い薬でした。
あれ何ていう薬だったんだろう。

喘息なんて自宅療養が中心だからフルーツバスケットには縁が無かったですねぇ。
仲の良かった従兄弟が裕福で、バナナやメロンは恵んでもらって初めて経験したのです。
金持ちっていいなあ、なんて思いながら、悔しさと淋しさの混じった複雑な気分で味わってました。

by ixion (2009-11-09 19:05) 

ファジー

公害の真っ只中に育ったのに、入院なんてしたことのない妙に丈夫な子供時代をすごした小生にとっても憧れの一品ですね。

ところで、場違いなコメントならお許しください。
ママさんの実家がある香川県西部(西讃という)では、葬礼の飾り物に大き目のフルーツバスケットが門前に並びます。まるで供花のように・・・。
中身はフルーツのほか、缶詰の盛り合わせ、子供のお菓子が詰まったものと多彩です。
ママさんの祖母の葬礼のときに初めて見ました。
もちろん葬礼が終わった後に分解して参列者に配るのですが、焼香のときに小盆に小銭を置く習慣といい、関西では見ない風習なので、興味津々観察してました。
(参考)mixiから引っ越した時のもので写真が小さいのですが・・・http://fuzzyphoto.blog120.fc2.com/blog-entry-177.html
by ファジー (2009-11-09 20:25) 

課長

子供の頃マスクメロンって食ったことがなくて、母親にメロン食べたい、あの筋がたくさん入ったヤツ(笑)なんてねだった覚えがあります。
当然ウチにそんな余裕があるわけがなく。あれは栄養があるから、病人しか食べられないんだ(そんなアホな)なんて説得されたような。
やっぱり昭和はお見舞い=メロンといった図式なんですかね。
by 課長 (2009-11-09 22:13) 

たろす

私は今も昔もフルーツバスケットにはあまり縁がないですね~。
子供の頃、風邪をひいて寝込んだりすると、いつもは怖いお母さんが優しくなって、リンゴをすってくれたのがうれしかったです。
元気な時に頼んでも、面倒だからだめって言われたし^^;
ハイソでない、フツーの家のよくある光景でしたね。
by たろす (2009-11-09 22:30) 

Milu

コメントを書いていますが、表示されません???
これは、試しです。
どうしてかしら?
by Milu (2009-11-09 22:52) 

Milu

今日はコメント書き込めましたので。。。へっへっへ
私も健康児でしたので、ぼんくらオヤジさんと同じ様な事を思っていました。^^;
あの、贅沢な果物バスケットには憧れていましたわ〜

by Milu (2009-11-09 22:57) 

タラオのパパ

オヤジもおばあちゃんが喘息持ちだったために
中学時代に準気管支炎に悩まされましたよ。
だからランニングなどの過度の運動は苦手でした。
高校に入っても
50mは6秒1で走りましたが、長距離走はバッチテストの
1級ギリギリのタイムが精一杯でした。
現在でも急激な温度変化について行けず、室内外の
出入りをすると慣れるまで咳が止まらないです。
喘息系は汗かきだし大変ですね。

最近はあまりフルーツバスケットは見かけなくなりましたね。
友人は入院するとお酒とかお寿司、雑誌などを頼まれますねw
by タラオのパパ (2009-11-09 22:59) 

ぼんくらオヤジ

@o_hiroさん、そうなんですよねぇ、病気になれば美味しい果物が食べられるような気になりましたよね(笑) 今は笑い話ですが、当時は結構、大真面目にそう思っていました。そういやバナナの当時の価格については以前に記事を書いていますので、もし関心がおありでしたらご覧になってください。
http://bonkura-oyaji.blog.so-net.ne.jp/2009-07-22
by ぼんくらオヤジ (2009-11-09 23:00) 

ナン

ブログの記事のご紹介をありがとうございます。

私は子どもの頃は、身体は小さいのに健康で、病気をした記憶が殆んどありません。
小学校は6年間、無欠席でしたし、中学校も、3年生の3学期に盲腸になって休んだだけです。

弟はすぐに熱を出したので、羨ましい気持ちがあったのかもしれません。
by ナン (2009-11-09 23:01) 

tateichi

'64年の「愛と死を見つめて」の頃から、病気、腺病質=美人というイメージがあり、勘違いしている子もいました。
小学生の頃、体育館の合同朝礼で貧血で倒れる子が多くいましたが、
健康優良児のわんぱくな女の子が、「私も貧血で病弱なの」と、ぬかしたのです。
私が返した言葉は・・・内緒です。(爆)
by tateichi (2009-11-09 23:05) 

ぼんくらオヤジ

@ixionさんも小児喘息だったんですか。我々の頃は異常に多かった病気でしたよね。都市部や工業地帯は大気汚染が進んでましたから。「黄色い液状の甘苦い薬」ですか。気管支拡張剤には違いないでしょうが、何だろう? ぼんくらはメプチンみたいなタンクをカチリとはめ込む吸入ユニットを常時持ち歩いていました。外で発作が起きるとどうにもなりませんから。怖い思いはしませんでしたか? ぼんくらは福島に行って間もなく、余所者扱いでヒドい虐めに遭い、放課後の校庭でいじめっ子たちに吸入器を取り上げられちゃったことがあるんです。たぶんその精神的なショックが引き金になったんだと思いますが、発作が起きて危なく死ぬところでした。もう自分でどうにか出来る状態ではなくなっていたので、救急車で運ばれましたよ^^; でも、それがきっかけでみんなが急に優しくなりましたが(笑) そうそう、喘息って入院ってことには先ずなりませんから、フルーツバスケットとは縁がありませんでしたねぇ! ホントに役にたたない病気でした(笑笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-11-09 23:28) 

ぼんくらオヤジ

@ファジーさん、香川のお写真、拝見しました。家の軒先にズラリと並んでいるのがそうですよね! これは初めて見ました。フルーツバスケットになる以前の「原型」ってあるんでしょうねぇ、たぶん。缶詰やお菓子もあるんですね、何か名称はあるんでしょうか。参列者の方に分けるというのは合理的ですねぇ。あれ、そういや花輪って写ってましたっけ?
by ぼんくらオヤジ (2009-11-09 23:45) 

peace9314

フルーツバスケット欲しいな~♪ と思ってたら
急にケガして入院しました  悪夢でした(笑)
by peace9314 (2009-11-09 23:54) 

ぼんくらオヤジ

@課長さん、ぼんくらも言われた記憶がありますよ、「あれは病人が栄養をつけるためのもんだから」って。当時の大人の典型的ないいわけだったんですかね(笑)。メロンだって、プリンスメロンを食べさせといて、「あのマスクメロンは、このメロンに傷を付けただけ。中身は一緒!」なんてこともあったなぁ。サンマの蒲焼きを食わせといて、ウナギだっていってるようなもんで(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-11-09 23:58) 

ぼんくらオヤジ

@たろすさん、いいことを思い出してくださいました! 熱を出して寝込むと、親がリンゴをすり下ろして食べさせてくれましたよね。懐かしい、それも心がじんわりと暖まるような記憶です。どんな高価な果物も、あれにはかなわないや^^
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:09) 

ぼんくらオヤジ

@Miluさん、なんかso-netの具合が悪いようで申し訳ないです^^; コメントを書き込みにくい、閲覧できない等々の苦情を少なからず頂いています。困ったもんです。テストでも試しでも(同じだっての)何でもやってください。お願いします♪

へっへっへ、Miluさんもでゲスか^^ ナンさんが紹介してくださった絵本もそうですが、こーゆー心情って、子供にとっては万国共通なのかもしれませんね(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:16) 

ぼんくらオヤジ

@タラオのパパさん、そうでしたか。そこまで顕著に症状があるんですから、準気管支炎なんていうより立派な気管支炎でしょう。それは辛い思いをされましたね。ああ、やっぱり今でもそうですか! よく分かります。ぼんくらは普段なら何でもないんですが、ちょっと気管が荒れるともうダメで、急激な温度変化がある場合や、エアコンの風を直接に浴びたり、きっかけがあると、子供の頃に味わった発作に近い症状が現れます。なので体調がよくなくて飛行機に乗るときなんかは、事前にお医者さんに頼んで気管支拡張剤を処方してもらっています。映画の『グーニーズ』を観た時に、マイキーが見慣れた吸入器を使うシーンで涙が出ましたが、この気持ちって喘息じゃない人には分かってもらえないでしょうね。
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:29) 

ぼんくらオヤジ

@ナンさん、小学校全学年無欠席っていうのは凄いですねぇ^^ そりゃあ、病気の子が羨ましくなるわけだぁ(笑) 弟さんのほうが病気がちだったということですが、そもそも生物学的にも女性は男なんかよか強いですよね! 我が家でもオバンよか、ぼんくらが寝込むことの方が圧倒的に多いです^^;;;
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:36) 

ぼんくらオヤジ

@tateichiさん、「まこ甘えてばかりでごめんね~ みこはとっても幸せなのぉ~♪」でしたっけ? そうなんですよねぇ! 『薄幸の美少女』とか言うじゃないですかぁ。ぼんくらにとっても、病気がちな子、特に不治の病に冒された女の子は、透き通るような白い肌、薄い唇、ミラーボールのように輝く瞳の巻き毛の子じゃなければいけませんでした(笑) いたいた、健康優良児の牛娘! ぼんくらを見つけると教室だろうが廊下だろうが後ろから覆い被さってきて、「アタシも~ダメぇ、保健室に連れてってぇ」。あれは恐怖でした。ところでtateichiさん、その女の子に何て言ったんですか?(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:51) 

ぼんくらオヤジ

@peaceさん、大願成就したんじゃないですかぁ^^ 
え、ケガだけでフルーツバスケットは無しぃ? 
そりゃ悪夢だわさ^^;;;
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 00:53) 

ケセパタちゃん

健康すぎるケセパタちゃんは自家中毒をおこして、よく入院する
5才年下の弟がちょっぴり裏やましかったです。母親の愛を独占できるのですから。入院先に行って、何かを食べちゃうなんて事はしませんでした~
1番上の長女として、弟達の面倒をみるのが当たり前に育ったケセパタちゃんは人に甘える事ができず頑張っちゃう性分で困ってます。時々、病気になりたくなっちゃう・・・
ちょっとナーバスになってます。ごめんなさい。
by ケセパタちゃん (2009-11-10 06:54) 

Q

ウチの母親は、会う度に「どこどこが痛い」「あそこの病院は...」
と、体調不良の自慢話です^^;

実は元気なのか、それとも親孝行が足らないのか。。。(笑)
by Q (2009-11-10 09:42) 

ぺんちゃん

ペンちゃんが幼稚園の年長の頃、肺炎で1週間入院したとき、隣のベッドにペンちゃんと同じ年の男の子がいました。心臓弁膜症という病気で、まもなく亡くなったそうです。母から聞きました。男の子はくちびるが紫色だったことを今でも覚えています。ペンちゃんの入院していた病院は炭鉱の病院で、暗く、陰気くさい、特にトイレが怖い印象があって、お金持ちの人が入院するような病院とは月とすっぽん?ですね。
by ぺんちゃん (2009-11-10 14:47) 

ぼんくらオヤジ

@ケセパタちゃんさん、げ! 入院先に押しかけて見舞い品を食い荒らしてくるなんてことはしなかったんですか!? そりゃあもったいないことをしましたねぇ。なぁ~に、カラスがお墓のお供え物を食べるようなもんですよぉ、かかかかかか。

長女の気持ち、ぼんくらオバンも長女なのでよく話を聞いています。ヘラヘラできる長男坊とはワケが違いますね。オバンもいろんなことを一人で抱え込んじゃうところがあるので、ケセパタちゃんさんの辛さが分かるような気がします。特に状況が大変であれば尚のことでしょう。ナーバスになるのは当たり前のことですよ。
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 17:04) 

ぼんくらオヤジ

@Qさん、お母様が仰っていることは多分、本当なんだと思います。ぼんくらも50が近付いてきた頃から急に身体の衰えを具体的に実感するようになってきました。それまでは何となくって感じだったのに。例えば、ちょっと長く歩いただけで膝のお皿に痛みを感じたり、息子がハナをグスグスいわせているだけなのに、感染ると寝込ほどダメージがあったり。こうした衰えに加えて身近な方が亡くなったり、自分が若い頃に親しんでいた歌手や俳優なんかの訃報があったりすると、徐々に自分という実体が失われていきつつあるのを肌で感じるようになるんじゃないでしょうか。当然ながらQさんの親孝行が足りないなんてことじゃないと思いますよ^^ そうですねぇ…、自分の反省から言えば、唯一できる親孝行は、お母様のお話を、たとえそれが繰り返しであっても辛抱強く、何度でも丹念に聴いてあげることかもしれませんね。
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 17:16) 

ぼんくらオヤジ

@ぺんちゃんさん、炭鉱町の暗く陰気な病室で一生を終えた男の子を思うと涙が出ますね。記事で取り上げたNも肌の白い子だったせいか、体調が悪くなると唇が妙に浮き上がってみえたので、見たこともない男の子の紫色の唇が見えるようです。Nはホテルのような明るい病室で、お母さんやお手伝いさんに世話をしてもらいながらの闘病でしたが、それでも子供心にNが可哀相で仕方がありませんでした。今こうしてコメントを書いている間にも、3秒に一人のペースで、世界のどこかで子供たちが飢えや貧困で亡くなっています。たしかに人生の価値は生きた時間の長短によるものではありませんが、それでも尚、幼くして帰天せざるを得ない人生とは、余りにも不条理で受け入れがたいですね。
by ぼんくらオヤジ (2009-11-10 17:31) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。