史上最短のブーム『アメリカンクラッカー』

　指が１本通せるぐらいの輪っかと２個のプラスチック・ボールが丈夫なヒモで結びつけられているだけのオモチャ。時は1971年。春休みに入って間もない３月初旬に『ママレンジ』でお馴染みだったアサヒ玩具から『カチカチボール』という商標で発売された通称『アメリカンクラッカー』は、あっという間に子供たちの心を捉えて大ヒット商品にのし上がった。
　造作に負けず劣らず遊び方もシンプルで、輪っかに指を通してしっかり持ったら、あとは２個のボールを振り子の要領でカチカチぶつけ合うだけだ。初めはそっと指を上下させてボールのぶつかり合うリズムを安定させ、少しずつボールの振れ幅を大きくしていく。そして最後に「そらっ！」と思い切りよく力を加えると、双方のボールが上下でぶつかり合う。ただこれだけのことなんだけど、上手く行った時の爽快感といったらなかった。辺りに響き渡るカチカチ音と、ボールが赤や青の弧を宙に描く様は子供心をくすぐるには十分過ぎるぐらいの効果があった。
　やったことのない人には、この遊びが意外に難しいなんてとても思えないだろうなぁ。たしかに、ただボールを振り子のようにぶつけ合うのはカンタン。でも、最終目的の「上下カチカチ」となると俄然、難しくなるのだ。ちょっと上下運動にふらつきが加わっただけでボールはあらぬ彼方に弾かれ、手や腕はもちろん、運が悪けりゃ顔面を襲われるんだから怖い。実際、ぼんくら少年も容赦ない勢いで飛んできたボールを左目の下で受け止めて、ノックアウトされたボクサーみたいな青あざを作ってしまった。当ブログでひんぱんに登場して頂いているご近所のお医者さんにも、
「眉間に当たっていたら死んでおったぞ、馬鹿者めがっ」
　って怒鳴られたっけ(^^;　そんな怪我をしても、親は注意したぐらいで禁止もしなかったんだから、おおらかというかオメデタいというか（笑）。懲りることを知らない（ぼんくらオバンに言わせれば「学習能力のない」）ぼんくら少年は、その後も体の至る所に青あざを作りながらこの遊びを続けたのだった。
　アメリカンクラッカー・ブームの幕切れはあっけなかった。プレイ中にボールが割れて飛び散る事故があったり、それ以前に遊び自体が危険だということに親もようやく気付いて我が子に遊びを禁止するなど、逆風が突如吹き荒れ、メーカーが相次いで製造を中止したのだ。当然のように新学期を迎えた学校でも遊び禁止が申し渡されて、発売後１ヶ月余りで街角からカチカチ音は消えてしまった。
　それでも人々の記憶にそれなりの足跡を残していたようで、たとえばアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』やアーケードゲームの『ジョジョの奇妙な冒険』では武器として登場してるし、アニメ化された『いなかっぺ大将』では風大左衛門がアメリカンクラッカー状の涙を流してるし、何年か前にフジテレビでオンエアされていたクイズバラエティ『たけしの斎藤寝具店』では、ボウリングの球で作ったアメリカンクラッカーが登場した（笑）。やっぱりバカみたいだな、ははは。

タグ：カチカチボール アサヒ玩具 アメリカンクラッカー

コメント 22

これがもう、うるさくてうるさくて。。。
100均で買って、息子に渡したことを後悔しております~。
by Q (2009-08-03 17:56) 

初めまして！
遊びに来ました！
良かったら私のブログに来てくださいね！
これから、ちょこちょこ遊びにきます！よろしくです<m(__)m>
by aosima0714 (2009-08-03 18:04) 

こんにちは、
やりました…カチカチボール（笑）
勿論、巧くなりたいと思うより先に、
いつ自分に向けての凶器になるのではと言う恐怖感が
先行しちゃって（汗）
いつも登場する御医者様あってのぼんくら少年ですわ。


by 牛子 (2009-08-03 18:31) 

こんばんは♪
やりましたよ～
カチカチと！

今も100均で売っていて子どもが珍しがって購入したんですが、上手に出来ない。
アタシの方が昔取った杵柄で上手かったｗ
by イヴ・Ｄ・ローク (2009-08-03 20:59) 

Qさん、記事には書かなかったんですが、
ぼんくらの父もイヤがってましたよ～、カチカチ音！
息子さんに買ってあげたのは失敗でしたねぇ（＾＾；
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 21:40) 

aosima0714さん、よろしくです(^^)/~~~
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 21:41) 

牛子さん、あれって確かに危ない遊びだったと思うんです。
それでも、今の子たちをみていると、危険な遊びをさせてもらって
ラッキーだったかなぁ、なんて叱られかねない感想もここだけの話、
思ってるんです。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 21:45) 

イヴさん、ぼんくらもサーフボードで同じ思いができたんですが、
昔やってたもので「どうだっ！」って子供らに見せられて、
「すげ～！」とか「かっけ～♪」なんて尊敬されると、
得意になっちゃいますよね！　あれって気分いい～♪♪♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 21:50) 

とろくさい私は、よくあちこちぶつけて痛い思いをした玩具です。
いつの間にか母に隠されていました。
by ばぁちゃん (2009-08-03 22:06) 

ばぁちゃんさん、いいお母さんでよかったですねぇ(^^)
隠してもらわなかったら、きっと怪我してましたよ♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 22:18) 

何か（TVなど）で見た気がしますが、
実物は見たことがないです。
そのうちヨーヨーのようにカッコよくリニューアルされて
復活したりしそうな気もしますが・・・・危ないんですね～。
by みおのとおちゃん (2009-08-03 22:54) 

Qさんやeveさんのお話だと100均で売ってるみたいですが、
最近の物を見ると、心なしかヒモが短くなってるような…
安全面の配慮かもしれませんね。子供がやると、どうしても
腕が短い分、本体が体に近付きますし、夢中になると
どうしても手前に引き寄せちゃう傾向があると思うんです。
大人がやるぶんには、そうは青あざを作らずに済むと思います。
ぼんくらは、もうやる気はないけど(^^;;;
by ぼんくらオヤジ (2009-08-03 23:16) 

ぼんくらオヤジさん、おはようございます。
アメリカンクラッカーには苦い思い出がおります。
運動神経・・・まあまあ
器用さ・・・・・まあまあ　　　で通っていた小さい頃、
このアメリカンクラッカーの登場で、
見事に崩れさり、不器用のレッテルが貼られたのです。
その後もず～っと不器用で通用してます。トホホ
by ケセパタちゃん (2009-08-04 07:05) 

ケセパタちゃんさん、おはようございま～す(^^)/~
アメリカンクラッカーで不器用の烙印を押されちゃった人って
案外に多いかも。あれって運動神経じゃなくって、
「怖いっ」って思って上手くいかなかっただけだと思うんです。
罪作りな遊具でしたねぇ(^^;
by ぼんくらオヤジ (2009-08-04 07:35) 

あった、あった、なつかしーな
夢中になった友達の指からふっとんできて怖かったな
でまた、気がつくと違う遊びになってた
by 釣られクマ (2009-08-04 09:38) 

釣られクマさん、それは危なかったですねぇ(^^;
しっかり指を引っかけてなかったり、
輪っか自体を握るように持ってると、
カンタンに吹っ飛びましたよね。
先だってDiscovery Channelで中国の古代武術を
特集していたんですが、アメリカンクラッカーみたいな
飛び道具がありましたよ。思わず納得でした（笑）
by ぼんくらオヤジ (2009-08-04 09:49) 

ファンタのオマケの　”バンバンボール”　を

　　　　　　　　　　　　　　よくやりました♪　ヾ(＾▼＾＊)ノ

by ダー (2009-08-04 10:02) 

ダーさん、『バンバンボール』ですかぁ！
懐かしいものを出してくれましたねぇ(^^)
あれって結構面白かったんだけど、
ちょっと遊んだだけですぐにゴムが切れちゃいませんでしたか？
ぼんくらは、何回か直し直し使ってたんですが、
終いにゃ面倒臭くなってほったらかしにしてたら、
ボールがどっかにいっちゃいました(^^;
それでも黄色いラケットは、しゃもじ状態で長いこと
部屋に転がってましたっけ。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-04 10:13) 

懐かしい＾＾
やりましたよ！
息子の時じゃなくてよかった＾＾
とってもうるさいですよね。
by 空楽 (2009-08-04 11:10) 

空楽さんもやりましたか！
カチカチなんてナマやさしい音じゃなくって、
カンカンっていう癇に障る音でしたよね。
騒音系玩具の中では
間違いなくベスト５に入ります♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-04 12:24) 

実はヌンチャクと同じくらい危険で難易度の高い玩具なんですよね～。
うちにもあった・・止め時が分かんなくて怖くて必死だからヌンチャクより性質が悪いかも。
by 2601 (2009-08-04 22:44) 

2601さん、仰る通りなんです。止める時が怖いんですよ！
怖がると身をよじったり、腕を引っ込めたりするので、却って
危ないんですよね。破壊力もヌンチャク並みにはあったんじゃ
ないでしょうか。今にして思えば、度胸試しにやってたような
気がします(^^;　
by ぼんくらオヤジ (2009-08-04 23:05)