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魔法瓶の不思議 [テクノロジー]

魔法瓶1.jpg 子どもの頃に不思議で仕方のなかった言葉が『魔法瓶』だ。魔法瓶を擦ると巨人が飛び出してくるからなのか。巨人は出てこなくても願いが叶うんだろうか。それとも昔、魔法使いが使ってたからそんな名前が付いたんだろうか。カエルやヤモリと毒草を鍋に放り込み、タイガーの魔法瓶でお湯を足す魔法使いの姿を想像しながらよく魔法瓶を磨いていた。何も起きなかったけどね。
魔法瓶2.jpg 原理を考えてみれば、たしかに魔法の瓶だ。容器に入れたお湯が冷めちゃうのは、お湯の熱が容器の内壁から外壁に移動し、外気に逃げてしまうからだ(熱伝導)。また熱が電磁波として容器に吸収されちゃったり外へ逃げちゃうのも大きな要因だ(熱放射)。これを容器を二重にして、更にその間を真空にすることで熱の移動を遮断しちゃうわけだ。さらに内壁を鏡面にすることで光の仲間である電磁波をお湯に戻す工夫も施し保温を実現してるんだ。それでも実際には、内壁と外壁の接点はあるわけだし、完全な真空状態を人工的に作り出すこともできないので、どうしても徐々に熱は逃げていっちゃうけどね。同様に完璧な鏡面を作り出すことも不可能なので、完全に電磁波を封じ込めることも不可能だし。だから夕飯時に魔法瓶に注いだ熱湯は、残っていたとしても翌朝にはぬるま湯になっちゃってたよね。
魔法瓶3.jpg 昭和30~40年代は電気ポットなんてハイカラなものは普及してなかったから、デュワー瓶(テルモス瓶)と呼ばれる内側に銀メッキを施した二重構造のガラス瓶が主流だった。だから手を滑らせて床に落とそうもんなら、ガチャンというくぐもった音がして、振るとカシャカシャ音がしたよね。早い話が、中のガラスが割れて使い物にならなくなっちゃったワケなんだけど、あれは切なかった。大正元年(1912 ※1911年説も有)に大阪の日本電球によって国産初の魔法瓶が製造されて以来、多くの日本の子どもたちが魔法瓶を壊して親に叱られてきたんだもんね(笑)。この悲しい思いから子どもたちが解放されたのは、昭和53年(1978)に日本酸素(現大陽日酸)によって中瓶がステンレス製の真空断熱魔法瓶が開発されてからだ。
魔法瓶4.jpg ガラス中瓶の魔法瓶の生産は昭和48年(1973)をピークに徐々に落ち込み、平成に入ってからはピーク時の5分の1にまで減少してしまった。
 でもね、今でも生産は続けられているんだよ。不思議でしょう? どうしてかっていうと、日本製のデュワー(テルモス)瓶は原料の高価な硼珪ガラスを使っていて滅多なことじゃ割れない強度を誇っているからなんだよね。この高い技術は日本の独壇場。ステンレス瓶じゃなくとも国産品なら心配ないし、保温性の高さでは定評があるのでぜひ、使ってみてね♪
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泉

ふ・ふ・ふ
またしても一番~~

魔法瓶なつかしいです。
私は、同じタイプの水筒を
買ってもらってすぐ
遠足で割ってしまい、

「隣のクラスの荒木君が割った」と
大嘘をついて叱られるのを
回避した記憶があります。

親同士で話になったら
どうしようと
しばらくヒヤヒヤしていましけどね。

今日は、ちゃんと名前をかきました(笑)
by (2009-12-21 17:15) 

ファジー

ガラス中瓶の魔法瓶懐かしいですね。
小学生の頃まだめずらしかったそれを遠足に持ってきた女の子が、湯気を立てながらコップにお茶を注ぐのを見て羨ましく思ったものです。
こちらは、大きなドラ焼きにキャップがついたような水筒でしたからね。

今でもその魔法瓶を製造しているとは・・・驚きました。
by ファジー (2009-12-21 17:25) 

はやちゃん

「昔、使っていた 魔法瓶が一番 お湯が冷めなかった」と80過ぎのお袋が今でも言います!
まだ作っていると教えたらきっと喜ぶと思います。
・・・次の休みには魔法瓶を探しに引っ張りまわされるかな(笑)
by はやちゃん (2009-12-21 17:59) 

タラオのパパ

先日、TVで佐々木健介と北斗晶夫婦が太口の魔法瓶を
使ってお弁当を保温してましたよ。
パスタ料理でしたが、麺は袋に入れたまま魔法瓶の
中に・・・

昔、ランチジャーというのが流行りましたが、今や
そんな使い方もあるんだなぁと感心しました。
by タラオのパパ (2009-12-21 19:02) 

やっくんたっくんのパパ

空になったポットの中を
覗いてみたり匂いを嗅いでみたりして
遊んでいた記憶があります
ええ、落として割った事もございますとも
by やっくんたっくんのパパ (2009-12-21 22:35) 

井上酒店

魔法瓶・・・確かに今思えば妙な名前ですよね。でも発売した当初は凄く斬新な名前だったんでしょうね。今は電子ポットを使っていますが、魔法瓶・・・懐かしいですね。
by 井上酒店 (2009-12-21 22:59) 

たろす

最初の頃は、スッポン[__!]って蓋をとってお湯を注いでいたんですよね。
それがねじ式になり、力を入れずに済んで便利になったな~と思った記憶があります。

by たろす (2009-12-21 23:25) 

peace9314

先日
魔法瓶落としてしまいましたTоT~  10年くらい使ってたのに。。大泣き
by peace9314 (2009-12-21 23:29) 

Milu

イタリアにはそんなハイカラな電気ポットなぞありませぬ。。。
30年代のポットで止まっています。^^;
by Milu (2009-12-21 23:37) 

ぼんくらオヤジ

[メール]泉さん、ふふふ、ヌシもワルよのぉ~♪ 荒木くん、小学生にして女性の怖さをおもいしったでゲスなぁ! いいんです、男はそうして成長していくんですから(な、ぼんくら妹!) だけど、当時の水筒を遠足先で壊すなってほうがムリでしたよね^^; P.S.ややこしいコメント欄、覚えてくださって感謝です^^;;;
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:54) 

ぼんくらオヤジ

[メール]ファジーさん、大きなドラ焼きにキャップが付いたような水筒…、がははははは! それって何気に本格的な水筒じゃないですか! まあ当時は、アニメのキャラものが出回ってましたよね、そっちのほうでしょうか? それでも先の泉さんみたいな思いをするぐらいなら、ドラ焼きで良かったかも(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:55) 

ぼんくらオヤジ

[メール]はやちゃんさん、ガラス中瓶の魔法瓶は象印やタイガーなどの大手メーカーから販売されています。硼珪(ほうけい)酸ガラスを使用していて国産であれば品質と性能は心配ないと思います。技術の進歩と性能善し悪しは必ずしも一致しないことが間々ありますよね。はやちゃんさんのお母様には貴重なことを教えて頂いた思いです。ありがとうございました!
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:55) 

ぼんくらオヤジ

[メール]タラオのパパさん、ぼんくらも観てました、その番組! まあ道具はホントに使いようですよね^^ タラオのパパさんはこういう工夫がお得意なんじゃないですか? ランチジャー! そういやありましたね、あの化け物的にどでかい弁当箱(って言っていいのかどうか^^;) あのシステマティックなムーにはそそられましたよね♪ 結局、縁がありませんでしたが。
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:56) 

2601

花柄のジャーやポットに不満~な子ども時代でした。
しかし当時は、流行ってましたよね~。
by 2601 (2009-12-21 23:56) 

ぼんくらオヤジ

[メール]やっくんたっくんのパパさん、やっぱり落として割っちゃいましたか^^; あれってヒドい時は、その辺にチョッと当たっただけでガシャンでしたよね! 明るいところで覗くと鏡面に回りの景色やら自分がひしゃげて映っていて面白かったですよね♪ あー、ぼんくらも匂いを嗅いだ記憶がありますね。匂いを嗅いだり、口に入れたり、子どもって五感をフルに活用しますよね。だから危ないんだけど(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:56) 

ぼんくらオヤジ

[メール]井上酒店さん、今日の夕飯時にぼんくら息子たちに「魔法瓶って知ってる?」って訊いたら「???」でした^^;;; 知らないんだ、今時の子どもたちって。画像を見せたら、「なんだ、ポットじゃん」ですと! …疲れちゃった(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:56) 

ぼんくらオヤジ

[メール]たろすさん、コルク栓のスッポン!を覚えてらっしゃるんですね(笑)。ぼんくらもしっかり覚えてます^^; ネジ式は、たしかに子どもにとってはホントに朗報でしたよね♪ 熱湯が入ってたりすると、時々湯気で火傷するのがタマに傷でしたが。それもネジ部が露出して外ブタが要らなくなると安全になりましたよね。してみると、使い勝手や安全性が徐々に向上していったのがわかりますね!
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:56) 

ぼんくらオヤジ

[メール]peaceさん、落とした魔法瓶はガラス製だったんですか? そりゃ残念でした。そういう思いをしちゃうと、次に買う時はステンレス製を考えちゃいますよね^^;
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:57) 

ぼんくらオヤジ

[メール]Miluさん、T-falの電気ポットなんかはイタリアじゃ使ってないんですか? あの1分と経たないうちにお湯が沸いちゃうやつです。こーゆーのって、却ってヨーロッパよりも日本のほうがメインの市場なのかな^^; とにかく保守的ですからねぇ。それがいいところなんですが(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-21 23:58) 

ぼんくらオヤジ

[メール]2601さん、趣味が合いますねぇ(笑) ぼんくらも子どもの頃、あの花柄が大嫌いでした。で、大人になって中国に行ったら、どこもかしこも花柄の魔法瓶で、あれには笑っちゃいました。凄く懐かしかったですけどね♪ たぶん今の中国なら、中高年の人達は同じ感慨をもつかもしれませんね^^
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 00:01) 

セッチー

あ、この写真の魔法瓶の形、昔よくありましたね~。
幼少のころ、魔法瓶をうっかり落としたら、中でガチャガチャ音がしていました^^;体温計の水銀部分と同様、子供ながらに取り扱う時ちょぴりビクビクしていましたっけ。
そういえば、父が昔むかしタイガーの保温弁当ボックスを使っていたのですが、あれもこの魔法瓶を同じ原理だったのでしたっけ?重さといい、持ち運び辛さといい、今では、初期の携帯電話のような驚きでしょうけれど、当時あの父親だけが使うことが出来る保温弁当箱は憧れでしたよ~。だって、おみそ汁もご飯もおかずもどこでもほっかほかで食べられたんですから。うふっ。
by セッチー (2009-12-22 01:21) 

牛子

魔法瓶、御世話になりましたね(^^)
あの覗き込んだ空間の不思議さは今でもドキドキしちゃいます(笑)何故か私の中の魔法瓶は、家を新築中の御宅が大工さんの昼食時と休憩時に魔法瓶とお茶とお菓子を運ぶ…という思い出が…ウチの実家がが新築中は、お昼に味噌汁の鍋も運んでいましたので、当時からインスタントの味噌汁があれば、魔法瓶さえあればOKだったかもしれません(笑)
現在は電気湯沸かしポットですが、今でも製造されてるなら魔法瓶で充分という気がします。
by 牛子 (2009-12-22 05:25) 

ダー

確実にありました・・・当時♪ ヾ(^▼^*)ノ

by ダー (2009-12-22 08:36) 

りみっと

おばあちゃん子だったので、今でも魔法瓶とか写真機とか
レトロな名前が口元から出てきそうな自分…
象印、犬印、タイガー、ピーコックと
動物系の名称が多かったですよね。
え~っと、クイズ番組で答えられないと滑り台が上がるヤツの
スポンサーが犬のマークだったことを覚えています。
あと、スターものまね大合戦でしたっけ?
玉置宏が「象印賞~!!」って押すだけタイプのポットを
渡していたのを覚えています。
当時はアレ(押すだけでお湯が出てくる)が欲しかった!!
by りみっと (2009-12-22 11:04) 

ぺんちゃん

上から2番目の魔法瓶ぺんちゃん家で使っていたものと、全く同じものだよ
何故か、編み物をしてる母の姿が浮かんできました。
by ぺんちゃん (2009-12-22 13:03) 

空楽

懐かしいですね。
ブルーの実家あったような・・・

by 空楽 (2009-12-22 13:31) 

ケロリ

うわぁ〜!懐かしい&可愛い〜^^
魔法瓶の水筒、私も割った事があります。。。
でも、日本の魔法瓶、優秀なんですね♪
今思えばエコでいいかも知れません☆
by ケロリ (2009-12-22 16:00) 

ぼんくらオヤジ

[メール]セッチーさん、ぼんくらも魔法瓶を取り上げる気なんて記事を書く直前まで無かったんですが、画像を見て俄然、その気になっちゃいました。ああ、そうでしたね、体温計も壊しやすいものでした^^; 最近は本当に見かけなくなっちゃっちゃいましたが。保温ランチジャーも憧れでした(笑)。ねぇ、温かいお味噌汁やご飯が出先で頂けるなんて、当時じゃ想像もつかないことでしたから。「子どものうちからそんな贅沢なものを使ってると堕落する」と言われて買ってもらえませんでしたが(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 22:20) 

ぼんくらオヤジ

[メール]牛子さん、お子さんの頃から随分とお家のお手伝いをされてたんですね^^ 立派だなぁ! そうなんですよね、ぼんくらも今、相方と相談して魔法瓶を買おうかという話になっています。「なんか必要に応じてお湯を沸かすってイージーな方に流れてたかな」なんてことを話し合いながら。見直すべきはそうしたほうがいいのかもしれませんね。
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 22:21) 

ぼんくらオヤジ

[メール]ダーさんはギリギリご存じないんじゃないかと思ってました。いつもスレスレのネタでゴメンなさい(笑)。じきにドンピシャのネタを出しますね♪
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 22:21) 

ぼんくらオヤジ

[メール]りみっとさん、なんで動物系の名前だったんでしょうね(笑) 答えられないと滑り台が上がるのって昭和39年(1964)から昭和49年(1974)までやってた『ダイビングクイズ』ですよね、たぶん♪ ということはスタート後しばらくの間スポンサーだった(株)グロリア魔法瓶製作所のマークだと思います。このメーカーさんは今も健在ですよ。現在もイヌのマークを採用しているかどうかまでは確認が取れませんが、当時は『犬マーク』なんてニックネームが付くぐらいのメーカーでしたから間違いないと思います。
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 22:21) 

ぼんくらオヤジ

[メール]ぺんちゃん、そうですか。偶然ですが、思い出のものが見つかってぼんくらも嬉しいです。意外にお母さんは忘れてるかもしれませんね^^ 実をいうと、ぼんくら一家では3番目の青い魔法瓶を使っていた時期がありました。こういう偶然って楽しいな♪
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 22:23) 

ぼんくらオヤジ

[メール]空楽さん、ぺんちゃんのコメントに書いたばかりでビックリしてますが、ぼんくらの実家でもこれを使ってました! これって当時、凄く出回ってた商品なんですかね^^
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 23:12) 

ぼんくらオヤジ

[メール]ケロリさんも壊して悲しい思いをされたんですね^^ そうなんですよ、牛子さんも仰ってましたが、ホントにエコなんじゃないかとぼんくらも思い始めてるんですよ。もしかすると歳末セールか初売りで買うかも(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-12-22 23:13) 

くに

はじめまして。
懐かしいモノばかりですね。
花柄の魔法瓶、全く同じモノが家にありました。
懐かし~。
by くに (2010-01-24 22:12) 

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