大阪発の『都こんぶ』が全国に広まったわけ

　駄菓子屋のお菓子の中で、好きなのか嫌いなのか分からないお菓子があった。酢こんぶだ。黒酢ベースの調味料で味付けを施した昆布のことで、ガムが普及するまでは、口寂しい時に頬張るお菓子の代表格だった。酸っぱいものに抵抗のあったぼんくら少年にとって、最初のひと噛みに勇気が要るくせに、その後は箱が空っぽになるまで止められない酢こんぶは不思議な駄菓子だった。
　酢こんぶを開発したのは、大阪に本社を置く中野物産株式会社の創業者、中野正一氏だ。昆布問屋に丁稚奉公していた時に、ハネモノの昆布をおやつ代わりに食べながら、
「こんぶに味付けしたらお菓子になるんちゃうやろか。もしかしたら売れるんちゃうやろか」
　と考えていたんだそうな。このアイデアを19才で独立した時に開発したのが『都こんぶ』の原型になったっていうんだから、さすがに創業者は違うよね。昭和６年(1931)のことだ。都こんぶの「都」は、中野氏の故郷である京都を指す。
　開発自体に大変な苦労があったことはもちろんだけど、中野氏の凄いところはその商才にあると言っていいだろう。発売当初は「ターゲットは子どもたち」という基本戦略を軸に効率的な売り込みを行ったのだ。駄菓子屋に効率よく商品が出回るように、菓子問屋の建ち並ぶ天王寺や松屋町へローラー作戦とも言える徹底した営業をかけ、さらに子供たちに直結する紙芝居屋にも強力な売り込みを行った結果、都こんぶは当時としては驚異的な早さで全国に知れ渡ることになった。
　子供たちの顧客化に成功したところで、中野氏は戦略の軸足を大人に移す。この頃には都こんぶが大人にも受け入れられるお菓子であるという確信を得ていたのだ。そこで今度は売り込み先を映画館や演芸場、そして国鉄の売店へと広げていったのだ。
　駅の売店にも置いてもらえて、サラリーマンの背広のポケットにも女性のハンドバッグににも入り、しかも手のひらにすっぽり収まるサイズを模索した結果、小さな縦型の赤い紙箱に桜の花びらと都の文字をあしらった現在の都こんぶが誕生したのだった。
　現在、都こんぶシリーズは20種類を数える。じきに80周年を迎える今なお、都こんぶは新たなターゲットと商品展開を模索し続けている。

■酢こんぶで手品！■

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コメント 20

この酢昆布は、大好きでした。遠足にも必ずもって行ってました。もう口の中がすっぱくなってます（笑）

子供たちは何故か嫌いなようで、お菓子の詰め合わせをどこかから持って帰ってきても父親にくれます。

小生の学生時代、友達に「ガムいらんか？」と言われても「日本のチューイングガムもってるから要らん！」なんて言ってました。
同窓生からはヘンな目で見られてましたね。（爆）
by ファジー (2009-09-08 16:30) 

ん～…酢こんぶビミョ～ゥ…って思う自分の方が、体内酸性化してない？って責められてるような気になる健康おやつの印象があります。
味の好みは別としてアイデアとしてはピカイチと思います。おやつだけでなく今は珍味のコーナーにも置いてますよね。ビールもこんなツマミでって思うけど、、、同印象に干し梅がありますが、裏を見て中国産になってるとん～…ってね（汗）すみません、又ちょっと今夕食準備中でほろ酔いなもんで…アル中か！（笑）
by 牛子 (2009-09-08 17:14) 

＠ふぁじーさん、「日本のチューイングガム」ですか！？　これを中野さんが
聞いたら、泣いて喜んだでしょうねぇ^^
大阪の誇るお菓子ですから今の子供たちにも気に入ってもらいたいところ
なんですが、なかなかそうはいきませんねぇ。他に食べるものがあると
地味に感じるのかもしれませんね。それでもいろんな意味で体に良いと
いうことで、健康食としても注目を浴びている昨今でもあり、いつの間にか
好きになってるなんてことがあるかもしれませんね♪
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 18:08) 

＠牛子さん、健康食品からビールのつまみに話題を持っていくあたりが
牛子さんらしいですねぇ（笑）　てか準備中にもーほろ酔いかいっ^^;
手元を狂わせて指失くさんといて！　
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 18:12) 

都こんぶ
今でも、全く変わらない包装スタイルで売っていて
いつも新幹線に乗るときに家の奥さんが買うんで
いわば、我が家の小旅行用のおやつかも・・・・・
　　　この酢昆布を口に入れたときの
　　　奥歯のシビレ感と
　　　唾液の出具合で健康状況が解ったりして・・・
by miopapa (2009-09-08 19:42) 

酢昆布も昆布も大好きですよ。栄養素、髪にも良いので！
海に囲まれた北海道産を頂くので、干し椎茸と佃煮にしています。
家庭料理は私の特技なんです。

都こんぶと缶ビール！いけないっ！よだれが（笑い）
by tateichi (2009-09-08 21:28) 

いや「日本のチューイングガム」というフレーズは小生が勝手につけたのではなく、中野さんか、類似するおしゃぶり昆布のお店が宣伝していたものだったと記憶しています。なにせ40年ほど前のことなので記憶は定かではありませんが・・・。
by ファジー (2009-09-08 21:33) 

酢昆布懐かしーですね
眠りかけていた記憶が・・・
ありがとうございました。
by 天道翼 (2009-09-08 21:38) 

都昆布と言うより、ボクらは酢昆布と呼んでいましたが、小学生時代の映画館の友でした。ちなみにスルメイカと（売店のおばさんがその場で七輪で焼いてくれました。）とチューブにはいったチョコレートも！
by Mineosaurus (2009-09-08 22:06) 

＠miopapaさん、奥様がお好きなんですねぇ。
新幹線はよくお仕事でお乗りになるんですよね。
都こんぶは頭を冴えさせるビジネスツールって
ところでしょうか。ははは、たしかに奥歯が痺れます♪
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 22:07) 

＠tateichiさんは家庭料理がお得意なんですか！？
そっか、tateichiさんは今、北海道でしたね。
干しシイタケと昆布の佃煮なんて、今度はぼんくらが
ヨダレが出てきます（笑）

by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 22:13) 

＠ファジーさん、仰る通りでした。中野物産が昭和40年代に関西地区
限定で販売した『ゴールドコンブ』のキャッチに使われたのが「日本の
チューインガム」で中野氏の発案だったそうです。面白い情報ですねぇ、
ありがとうございました♪
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 22:21) 

＠天道翼さん、サイクリングでお疲れの時なんかにいいかもしれませんね♪
発汗と疲労で失われたミネラルの補給にもってこいかもしれません^^
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 22:23) 

＠Mineosaurusさん、ぼんくらも酢こんぶと呼んでましたねぇ。七輪で
焼いてもらったスルメイカは食べてませんが、お話を読んでいるうちに
無性に食べたくなりました（笑）　美味しかったでしょう！
by ぼんくらオヤジ (2009-09-08 22:29) 

酢こんぶ
初めて見た時。。


カビてるのかと思って食べませんでした。。泣（笑）
by peace9314 (2009-09-08 23:11) 

＠peaceさん、いつだったかドキュメンタリー番組でやってましたが、
酸っぱい臭いや味は、本能的に傷んだ食べ物だと認識するそうです。
同様に苦いものは毒といった具合ですね。ですからpeaceさんの
対応はちゃんと理に適っていたといえるんじゃないでしょうか？
もったいなかったけど（笑）
by ぼんくらオヤジ (2009-09-09 07:09) 

あん・・・・
酢昆布コンブこんぶ・・・
記憶にない( p_q)エ-ン
もしかしたら私の地域には売ってなかった？
今は売ってるっていうか知ってるけど
そんなに昔からあったとは・・・
改めて青森って田舎って気づいた
-----------------^( ToT)^
体に悪そうな、真っ赤な酢イカは売ってたなぁ～
タコだ、よっちゃんのタコ？だっけ？
ひぇ～忘れてるし
ボケが始まってる
・・・・・Σ(￣⊥￣lll)・・・・・
by みゆきママちゃん (2009-09-09 13:03) 

＠みゆきママちゃん、青森なら何も酢こんぶなんてわざわざ
食べなくても、もっと美味い昆布の食べ物がいっぱいあるんじゃ
ないですか？^^　青森は地域によって文化がまったく違うので、
みゆきママちゃんのお住まいの辺りとお話が合うかどうか自信が
ありませんが、若生昆布のおにぎりとかすき昆布の煮物とか、
ぼんくらがちょっと思い出すだけでもヨダレの出るような昆布の
食べ物が浮かんできます。とにかく美味いものがたくさんある
土地ですよね、青森は♪

酢イカ、懐かしい！　体に悪そうな色が付いていて、なんともいえない
下品な臭いが辺りに漂うんですが、何故か子どもに人気の駄菓子
でしたねぇ。「よっちゃんのタコ」って何だろう？　誰か知りませんか？
by ぼんくらオヤジ (2009-09-09 16:03) 

初めまして♪

懐かしい記事が一杯ですね＾＾
酢こんぶ、私もよく食べてますｗ
疲れた時、この酢こんぶがあると助かります＾＾
小さい箱なので持ち歩きにも重宝しますし便利ですね♪

また、寄らせて頂きます。
by diamantes_4869 (2009-09-11 11:30) 

＠diamantesさんは酢こんぶのファンなんですね♪
考案した中野さんがdiamantesさんの感想を聞いたら
大喜びだったでしょうね。正にそこが彼の狙いだったからです。
by ぼんくらオヤジ (2009-09-11 12:06)