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おかっぱ、おさげ、坊ちゃん刈り、坊主頭 [ファッション]

S40_小学生2.jpg  映画『20世紀少年』、面白いねぇ! 昭和40年代なのかな。原作者の浦沢直樹が35年の生まれだから、たぶんそうだろうけど。当時の子供達のファッションが結構、忠実に再現されていて、とっても懐かしかったんだけど、ひとつだけ引っかかることがあった。
 それは子供達の髪型だ。それらしくはしてあったけど、そのものじゃないんだよね。勝手な想像だけど、子役の俳優さんへの配慮かなぁ、とも思ったりして。映画に登場する子達は、それぞれに個性を出したかったのか全員が違う髪型をしている。でも実際には、昭和40年代の子供達が選べる髪型は本当に限られていたのだ。っていうか、床屋が勝手に決めちゃっていたといっても言い過ぎじゃないだろう。女の子は長短の差こそあれ、おかっぱが基本で、前髪を切り揃えるかそうでないかぐらいが唯一バリエーションと呼べる部分だった。おかっぱでなきゃおさげぐらいなもんじゃなかった? 男の子も、坊ちゃん刈りとおかっぱ頭、それに坊主頭しか思い出せないんだけど他にあったっけ? スポーツ刈りや長髪は50年以降だったような気がする。
S40_小学生1.jpg 端的に言って、その頃の日本人は、今では信じられないぐらい『個性』に無頓着だったのだ。それどころか敵意すら持っていたんじゃなかろうか。野球に関心のない男の子は友達も作れなかったし、『マーガレット』や『りぼん』を読まない女の子は他の女子と話もできなかったはずだ。いかに同じ事をし、同じ格好をし、同じ事に関心を持っているのかが友情の成否を決めていたわけで、だからこそ、
「お前は俺と違う」
 ってフレーズが仲間外れや絶交の宣告になったのだ。教室では、先生が「クラスの和」だの「クラス一丸となって」なんてことを連発してたし。今にして思えば、服装や髪型、果ては考え方までお互いに監視しあうような環境だったのかなぁ。とにもかくにも、多様性が許されるような環境でなかったことだけは確かだ。
 昭和40年代は「らしくない」という意味不明の論理がいとも簡単に受け入れられた最後の時期かもしれない。
「そんな女の子らしくない言葉は使っちゃ駄目よ!」
「もっと男らしい格好をしろっ」
 いろんな「らしさ」を(違和感を覚えながらも)受容して育ったぼんくらオヤジは、今こうして価値観の崩壊した社会に生きている。アイデンティティと多様性の間で、未だに軸足の置き場を探している。オウムのようなカルト集団の中核を形成したのが同世代だと知って身の凍る思いがしたのはこのためだった。
 でも、ぼんくらオヤジは思う。大なり小なり、人はその時代の負を背負って育つ。それをどうにかするのが務めでもあるんだと。何故か。答えは簡単だ。その時代ならではの恩恵にも浴したからだ。いろいろな制約や不条理はあったにしても、その中で子供なりに懸命に生きたのだし、第一、幸せだった。小学5年生の時に、職員室で複数の先生に押さえつけられ、伸ばした髪を虎刈りにされたぼんくらオヤジが、当時の髪型にいいしれぬ懐かしさを覚えるのはこのせいなんだろう。


■多感な少年時代を昭和40年代に送ったある少年の記録■



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