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ナショナル坊やという変わったトモダチがいた [その他]

ナショナル坊や2.jpg ぼんくら少年が福島に住んでいた時は自宅から2軒目がナショナルの電気屋さんで、店頭にはお約束の『ナショナル坊や』が立ちん坊をしていた。
 別に関心のあるキャラではなかったんだけど、登下校時には必ず目に飛び込んでくるもんだから、いつの間にか坊やの頭をポンと軽く叩いて、
「おはよー」
 とか、
「ただいまぁ」
 なんて声をかけるようになっていた。不思議なもので、日によって坊やの顔は楽しげだったり、シュンとしているようにもみえたり、時には意地悪にみえることもあった。その時のこちらの気分を坊やに投影してたのかも知らん。
 ある冬の日、吹雪の中を下校した時のことだった。電気屋さんの軒先には、いつものようにナショナル坊やが立っていた。強い風のために粉雪が体の半分にこびりついて却って寒々としてみえたので、ぼんくら少年は毛糸の手袋をはめた手で雪を落としてあげた。
 その日の晩は激しい積雪だった。ぼんくら少年は、何を思ったのか押し入れから小さくて着れなくなったカーディガンを引っぱり出し、シャッターの閉まった電気屋さんに出掛けていった。そしてナショナル坊やに積もった10センチほどの雪を落とし、カーディガンを着せたのだった。
ナショナル坊や1.jpg 翌日、登校時にみてみると、ナショナル坊やは何も着ていなかった。
「イタズラだと思われちゃったんだ」
 ホントにガッカリ! なんだか面白くない一日になって憮然として下校すると、ナショナル坊やの首から伝言板がぶら下っていた。
「セーター、アリガトウ。ウレシカッタヨ。ボクワ サムクナイカラ シンパイシナイデ。セーターワ デンキヤサンニ アズケタカラ トリニキテネ」
 ぼんくら少年は嬉しくて仕方がなかった。でも気恥ずかしくって取りに行かずにいたら、数日後にカーディガンが家に戻っていた。
panabo[1].gif「お宅のお子さんだろうって電気屋の奥さんが持ってきてくれたわよ。もー何を考えてんだか!」
 ぼんくら母によると、電気屋さんは店の奥からずっとナショナル坊やとぼんくら少年の付き合いを見守ってきたらしく、カーディガンを一目見て合点がいったのだそうだ。いつもなら頭ごなしに叱りつけるぼんくら母も、汚れたことに文句を言った以外は、いつになく優しかった。ぼんくらオヤジにとって昭和とは、こんな時代だった。


■明るいナショナル ナショナル坊や編 1960年代■




■明るいナショナル ナショナル劇場編 1970年代■




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タラオのパパ

その時期ぐらいだと思いますが・・・

ライバル社の東芝は三ッ木清隆が演じた
「光速エスパー」をマスコットに使っていた
記憶があります。
「ババババ バビューンと空を飛ぶ♪」
by タラオのパパ (2009-08-24 17:46) 

ぼんくらオヤジ

タラオのパパさん、たしか東ヒカルって名前は「光る東芝」からとった名前
だったと思います。ガールフレンドも芝光子でしたよね、やり過ぎだよなぁ(笑)
ぼんくらがよく覚えているのは東芝のお店のシャッター! ババババ
バビューンとでっかいエスパーの絵が描いてありましたよね♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 18:10) 

牛子

こんばんは~、
ナショナル坊や、(だと思うんですよ確かに)
旦那の実家のTVの上に存在します(笑)
かなり古めかしい成り立ちで…

ぼんくら少年、あまりのヤクザ振りにどうしたものかと心配しましたが、泣けるお話じゃあ、あ~りませんか、
本当はやさしい少年だったのか~…(泣)
注目されてたんですね~、商店街の店主には…
イタズラされるかと思い(笑)
一番感動したのは店主かも(笑)
by 牛子 (2009-08-24 19:01) 

空楽

おお~
やっと優しいぼんくら少年が現れました^^
偉い偉い! お姉さんは褒めてあげますよ! 
        (偉そうですね・・・・  笑)

 そのお姉さんは8歳の頃、近くの薬局のウサギさんに出歯が一緒だ! お前は薬局の前にいただろう。  と
10歳年上の従兄の友達 (熊本で1番頭のいい高校)に言われてました!   
by 空楽 (2009-08-24 19:03) 

s-img

ぼんくらオヤジさんって、優しい少年だったんですね。
感動しました :-)
by s-img (2009-08-24 20:47) 

ぼんくらオヤジ

牛子さん、自己弁護になるのを承知で申し上げますが、
男の子はある時期やんちゃでないと、
大人になって優しくなれないような気がします。
やんちゃになるっていうのは、ある意味、捨て身になることを
体で覚える行為なんです。これを分かっているかどうかで、
男の質は違ってくるんじゃないでしょうか^^。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 21:24) 

こちくん

なんとも心暖まる話ですね~
そんな少年時代がうらやましいくらいです。
by こちくん (2009-08-24 21:25) 

ぼんくらオヤジ

空楽姉御、もっと褒めてぇ(ゴロにゃン♪)

ま、姉御はご先祖様にウサギの血が入っておられるので?
あるいはお爺様がエスエス製薬の創業者で、
姉御がピョンちゃんのモデルだとか?
きゃー、冗談ですってばぁ~

それにしても従兄の友達は怖いもの知らずというべきか、
今ごろは奥さんにも娘にも捨てられて悲惨極まりない
人生を送っていようぞ! 知れ、女御の真の力を!!
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 21:37) 

ぼんくらオヤジ

s-imgさん、男の子ってそーゆー優しさを持ってるじゃないですか。
ただ女の子に比べて知恵がない分、上手くそれを表現できない。
それが無骨な手段であっも相手に伝わって気付いてもらえる時が
まれにあるってことなんだと思うんです。それも他者に褒められる
つもりでやるんじゃない純真さがあるんで、尚のこと人の心を打つ
んでしょうね^^

by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 21:55) 

課長

笑いあり、人情あり。いい時代でしたね昭和。色々悪さもしたけど皆純朴でしたよね。これからも(たまに)いい話をお願いします。
by 課長 (2009-08-24 22:00) 

ぼんくらオヤジ

こちくんさん、「少年時代」とご指摘の通り、
このエピソードの主役は、じつはぼんくらではありません^^
ぼんくら少年を見守ってくれた地域の人々の温かい視線こそが
主役なのでした。これは単純にノスタルジーで片付けていい問題では
ないと、ひとりの親として思っています。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 22:04) 

ぼんくらオヤジ

課長、いい話っていうのは「一杯のかけそば」同様、どこか胡散臭い
もんですよね(笑)。だから仰せの通りで「たまに」ね(笑笑笑)
そうですねぇ、昭和生まれはとってもいいものをいっぱい知っています。
だから平成の世で疎んじられようと過去の遺物のように言われようと
主張すべきはしたほうがいいんじゃないかと近頃では思っています♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 22:17) 

peace9314

ナショナル坊や!
初めて見ました\(Y ^ ^ Y)/

しかも CM中
ずっーーと笑顔でニコニコしている!

さすがです(Y ^ ^ Y)(笑)
by peace9314 (2009-08-24 22:29) 

びっけ

うぅーっ! いい話ですね。(;_;)
純粋な少年の気持ちが伝わってくるようです。
途中で、「笠地蔵」の話が頭をよぎってしまいました。(^^;
ナショナル坊やからのお返しは、幸せな気持ちだったのですね!

ぼんくらオヤジさんは宮城県生まれだったのですね!
私は仙台出身です! 先日、実家に遊びに行きましたが、朝晩は もうすっかり秋の風でした。
by びっけ (2009-08-24 22:38) 

ぼんくらオヤジ

peaceさん、ナショナル坊やは笑顔じゃpeaceさんと五分貼ってますよ^^
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 23:08) 

ぼんくらオヤジ

びっけさん、お帰りなさい(^^)/~
てか、びっけさんは仙台産でしたか!?
ぼんくらは仙台平野の岩手寄りの登米で生まれました。
小1の1年間は仙台の向山で過ごしましたよ♪

ある意味笠地蔵のお話は普遍的な人の気持ちなんだと
思います。ただs-imgさんへのコメントにも書きましたが、
個人の善行ではない、子供の素朴な気持ちを温かく
見守ってくれた大人の存在について、感謝も含めて
書き出してみたかったんです。今の子供たちがどこかで
萎縮しているのは、安全や責任論にがんじがらめになって
大人たちが何かを見失ってるんじゃないかと。親になってみて、
これが現実との擦り合わせの中でどれほど難しいかも
分かったのですが^^; 仮の答えすら出せずにいます。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-24 23:31) 

やなぎはっか

わ~い!ナショナル坊やだ♪
絶対に頭をポンッと、したくなるのですよね。

それにしても、ぼんくら少年の心の中は、
なんて豊かなのでしょう。
それを大きな!てのひらで掬い取ってくれるような
まなざしが、あのころには確かにあったのかも知れませんね。

私は、そんなまなざしさえ煩わしくて、いま思いますと
ずいぶん損をしてきたのかもしれません。
by やなぎはっか (2009-08-24 23:48) 

Mineosaurus

当時ナショナルといえば、ボクにとって『ナショナル・キッド』だね。当時の少年ジェットや七色仮面と違って、蹴りが入ったりして結構乱暴なヤツだったけど、ヒーローでしたね。
by Mineosaurus (2009-08-25 00:01) 

斗夢

子供はみんな多感であると思うのですが
ぼんくらさんは特に多感だったのですね!
それに比べて今の子供は・・・決め付けてはいけませんね。(^o^)
by 斗夢 (2009-08-25 05:13) 

ケセパタちゃん

ぼんくらオヤジさん、おはようございます。
かんしゃく玉の悪がきと同一人物???
牛子さんのコメントまんまの気持ちです。
小さい頃、近所をならしたケセパタちゃんでさえ、
11こ下の弟をおぶい、あけびの蔓でターザンごっこをしていた位ですから・・・何か話が違う様な???
人は、やさしい面とすごい麺を持っていて・・・
墓穴掘りそうなんで今日はこの辺で・・・ウヒ
by ケセパタちゃん (2009-08-25 06:57) 

ダー

ナショナル坊やって言う名前だったのね♪

                     σ(^_^;)アセアセ...

by ダー (2009-08-25 10:31) 

ぼんくらオヤジ

やなぎはっかさん、「まなざし」って本当に移しい言葉ですね^^
やなぎはっかさんには日々素晴らしい励ましと気付きをいただいて
いるので、この場を借りてささやかなお礼をしたいと思います。
ぼんくらの敬愛するモーリス・ズンデル神父の言葉です。

「家族という人間的三位一体の単純な現実が、永遠の三位一体の
もっとも美しいたとえとなることに注意を向けていただきたい。理想的な
家族とはどんなものであろうか? 妻に向けられる夫のまなざし、
夫に向けられる妻のまなざし、子どもたちに向けられる父と母のまなざし、
両親に向けられる子どもたちのまなざしでなくて何であろうか。まさに
おのおのが、相手のため、相手のうちに生きる分かたれ得ない調和の
うちでの互いの息遣いでないなら、家族の幸せや喜びや一致は
何なのだろうか? そして、この幸せな家族の幸福はだれに属するのか?
それはだれか一人のものではない。父親は自分が家庭の中心、
源泉であるとは言えない。母親もまた、一致や愛や子どもを自分が
独占することはできない。この幸せは相互のコミュニケーション(相互
付与)、相互の絶え間ない無所有、自己放棄よってしかありえないのだ」
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 11:54) 

ぼんくらオヤジ

Mineosaurusさん、ナショナル・キッドですか! 
ぼんくらが未だに覚えているのが、
彼の武器だった「エロルヤ光線銃」です♪
この不思議な音の響きが忘れられずにいたんです。
この歳になってナショナル・キッドの画像を見てみると、
このキャラが放っていた個性を改めて感じます^^
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 12:03) 

ぼんくらオヤジ

斗夢さん、東京では暴れ回っていて、福島では夢想にふけっていたって
感じだったのかもしれませんね^^;
仰るように今の子供たちには豊かな感性の感じられる子が少ない
ような気がぼんくらもします。もしそうなら、大人の責任ですよねぇ。
私らの何がいけないのかを真剣に考えなければならない時期なのかも
しれません。
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 12:08) 

ぼんくらオヤジ

ケセパタちゃんさんはお姉ちゃんをしていたんですねぇ^^
なんか、それだけでホロっとしちゃいます。アケビのツルで
ターザンごっこって、弟さんをおぶったまま飛び回っていたんで
しょうか、ならホンマもんのターザンや!(笑)

男の子の世界では、乱暴さと優しさは同居できるんです。
女の子が優しさとウソを同居できるのと一緒でね♪
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 12:16) 

ぼんくらオヤジ

ダーさんはナショナル坊やの名前を知らなかったんだー!
もしかするとソニー坊やならわかるのかな?
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 12:17) 

Q

昭和の笠地蔵だ。
今もこういう子供が必ずいるんでしょうね。

by Q (2009-08-25 13:30) 

ぼんくらオヤジ

Qさん、そーなのです。だから賽銭はぼんくらの隠し口座まで(笑)

必ずいますって! 子供はいろんなことに境界線を設けませんから^^
by ぼんくらオヤジ (2009-08-25 14:29) 

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