アルマイトの弁当箱

　鈍い銀色の表面。フタを開閉した時の独特の感触と擦れ合う音。中にぎっしりと詰まったご飯とおかず。給食の普及とともに日常生活からは消えちゃったけど、運動会や遠足などにはしっかりと顔を出し、ボクらの思い出に彩りを添えてくれたのがアルマイトの弁当箱だった。
　アルマイトは、腐食を防ぐためにアルミに酸化皮膜を施したものだ。初めは『ドカベン』で有名な味も素っ気もない代物だったけど、オフセット技術の進歩でフタに絵柄を印刷できるようになって、戦後の大ヒット商品になった。買った時には鮮やかだった絵が、だんだんくすんだり削れたりして消えていくの切ない思いで見ていた人も少なくないんじゃない？　
　アルマイトの弁当箱はその後も進化を続け、ゴムのパッキングを付けたフタを両サイドのローラーでパチンと留めるタイプが出てからは、おかずの汁が漏れ出して教科書やノートを汚すことも無くなった。ご飯とおかずの間を仕切り、フタの脇に箸入れを実装した『中学生用ブック弁当』なんかは、百貨店に行列ができるほどの人気だった。
　昭和60年代には、弁当箱の主役はプラスティック製品に取って代わっちゃったけど、今でもアルマイトの弁当箱は現役選手だ。スーパーや雑貨店に行ったら、手に取ってみない？　きっといろんな記憶が甦ってくるよ。

タグ：アルマイト 弁当箱 ドカベン ブック弁当

コメント 10

懐かしいですね～
私がまだ幼い頃、父が新聞紙に包んで持って行った記憶があります。
その新聞紙、何故か毎日交換せず、その匂いですとか、
何故か鮮明に甦って来ます。
私が住む、地方に限っての事だったらごめんなさい。
by 牛子 (2009-07-05 10:14) 

あ、牛子さんだぁ(笑）。ご訪問＆コメント感謝です！
いえいえ、記事の下調べ中に思い出したんですが、
弁当を新聞紙で包むのは、当時はごく普通のことだったんです。
こんなブログを始めてつくづく思わされるんですけど、
人にとって味覚や嗅覚は記憶の奥深くに根ざしているんだなと。
by ぼんくらオヤジ (2009-07-05 10:45) 

鉄腕アトムの弁当箱がお気に入りでした。
by s-img (2009-07-05 11:20) 

s-imgさん、なんとぼんくらも鉄腕アトムでした！
あとはブーフーウゥだったかな。
女の子の中には、赤い地に花をあしらったような
派手な弁当箱を持ってる子がいましたが、
大人になって中国に行ったら、市場で同じような
もの（たぶん弁当箱）が並んでいてビックリした
記憶があります。
by ぼんくらオヤジ (2009-07-05 11:29) 

弁当を温める木箱（練炭火鉢入り）を思い出しました。
一番下（火鉢のすぐ上）は焦げている時もありましたね。
いつも訪問くださりありがとうございます
今後ともよろしくお願いいたします。

by 空楽 (2009-07-05 14:27) 

ギリギリのアルマイト世代です。
保育園の頃「マジンガーＺ」のお弁当箱を
持って行くのが楽しみでしたね・・・。

中学時代にはプラスチックの容器に
取って代わられてしまいましたが＾＾。
by ごんべえ (2009-07-05 14:32) 

空楽さん、弁当を暖める木箱ですか。
ぼんくらは知りませんでした。
学校に置いてあったんですか？
ぼんくらの住んでいた東北では、
学校のストーブを囲っていたガードに
弁当を載せる棚が付いていて、
そこで暖めてました。中にはぼんくらの
天敵納豆の入った弁当なんかがあって
暖まるとそれは大変なことになりました（＾＾；；；
空楽さん、お礼を申し上げるのはぼんくらのほうです。
２年前、名古屋に越す時にネコたちを実家に預け、
悲しいお別れををしてきた身としては、
空楽さんのお写真でどれほど救われているかしれません。
どうか今後ともよろしくお願いします♪

by ぼんくらオヤジ (2009-07-05 16:21) 

ごんべえさん、コメント感謝です！
マジンガーZの弁当箱、ぼんくらも記憶してます♪
ある時期、アルマイトの弁当箱から突然、
ランチジャーみたいなものに変わっちゃったような
気もするんですが、どうでしたっけ？
by ぼんくらオヤジ (2009-07-05 16:24) 

懐かしいです！包んだ新聞紙が汁でグショグショになって・・
by solty (2009-07-08 11:27) 

soltyさん、その汁が教科書やノートに付いちゃった時なんか
ホントに切なかったですよね。ひどい時は、ランドセル自体に
染み込んじゃって、しばらく臭いが抜けなくて往生したことも。
今となっては懐かしい思い出ですが（笑）
by ぼんくらオヤジ (2009-07-08 12:43)